クリスマス・プレゼント
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作者 : ジェフリー ディーヴァー
定価 : ¥ 950
出版元 : 文藝春秋
発売日 : 2005-12
カテゴリ : 文庫
ランキング : 27470
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| 価格 | 商品名 | 納期 |
| ¥ 950 | クリスマス・プレゼント | 通常24時間以内に発送 |
ディーヴァーから読者への‘クリスマス・プレゼント’03年12月に、アメリカで『Twisted(ひねり)』というタイトルでリリースされた著者初の短編集。
’95年から’02年にかけて、主に本国版EQMM(エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン)に掲載された作品に、著者の代表シリーズのキャラクター、リンカーン・ライムが登場する書き下ろし1編を加えた16編からなっている。
長編作品におけるジェフリー・ディーヴァーの持ち味である、“どんでん返し”、“意外な結末”、“ノンストップ・ジェットコースター・サスペンス”は、短編でも、いや短編ならばこそいかんなく発揮されている。
作品のラインナップも、ラストであっと言わせるワンショットものを軸に、ひねりのきいたアイデア・ストーリーから、ハートウォーミングな音楽ミステリー、法廷サスペンス、サイコスリラー、シェイクスピアが重要な役割を演ずる歴史ミステリーまで幅広い。
いずれ劣らぬ逸品ぞろいだが、特に私の印象に残った作品をいくつかあげておく。
妻の不倫相手を手にかける男の物語だと思って読んでいると・・・。(『三角関係』)
連続殺人が起きている州立公園周辺へ、趣味の釣りに出かけると・・・。(『釣り日和』)
ストラディヴァリウスの強奪事件が、思いがけず心温まる物語に・・。(『ノクターン』)
罪を認めない悪党と対峙する検事の、逆転勝利の秘策とは・・・。(『被包含犯罪』)
ありふれた失踪事件が、やがてとんでもない事態へ・・・。(『クリスマス・プレゼント』)
未亡人と詐欺師の騙しあいの、二転三転の後の結末は・・・。(『パインクリークの未亡人』)
ストーカーに悩む少女が、本当に邪魔に思っていたのは・・・。(『ひざまずく兵士』)
本書はディーヴァーから読者に贈られた、まさに‘クリスマス・プレゼント’である。
長編の達人でも短編は難しいジェフリー・ディーヴァーの初短編集。リンカーン・ライムとアメリア・サックスが大活躍する長編で人気のディーヴァーが短編をどう仕上げるか、興味津々で読み出した。標題作『クリスマス・プレゼント』がライムとサックスが登場する書き下ろしで、他はEQMM等に掲載された短編である。
正直、今一歩である。いつものジェット・コースターのようなうねりが始まる前に物語を終えなくてはならないというのは彼のようなタイプの作家には厳しい気がする。前書きでディーヴァーが書いているように、たわむれに中学生時代に逆戻りしてみたような、『ぱっとしない少年の逆襲』的な出来映えで、書いている本人は楽しいのだろうが、読んでいる方としてはいつものひねりにひねったプロットが無くて寂しいものがある。
こういう短編集を読むと鮎川哲也みたいな短編まで素晴らしいミステリー作家はほんとに少ないものなのだと痛感してしまう。残念。
どんでん返し12連発ジェフリー・ディーヴァーの短編集。原題は「Twisted」。つまり、「ひねり」。その名のとおり12の短編、全てにどんでん返しが仕込まれています。それもただどんでん返しがあるのではなく、ほとんどがサスペンスとしても超一流で読ませる上に、最後には「やられた!」と思ってしまうのですから、すごいものです。それが12回も味わえるとはなんと贅沢な短編集。ストーリー、テクニックからして「名作」と呼ばれうるのではないでしょうか。
しかもリンカーンライムものの「クリスマスプレゼント」も収録されているのも贅沢ですね。
なのに、なぜ星4つなのか。ディーヴァー自身が序文でこう述べているのです。「長編はラストは必ずハッピーエンドでなくてはならない。読者にそれだけの時間つき合わせたのだから作者には読んでよかった、と思わせる義務がある。しかし、短編なら読者の拘束は短いのだから、後味の悪いものも自由に書ける」と。そのとおり、この作品集、どうにも後味の悪い作品が多いのです。1篇ごとに少し疲労感が残ります。
しかも最後を飾る「ひざまづく兵士」。これがまたなんともやるせない話で、なんでこれで終わるの?。
気に入ったのは、
意外な展開でハートウォーミングな「ノクターン」
ラストが全く予想しない方向に展開して心底驚いた「三角関係」「釣り日和」
といったところでしょうか。
少し不満を言ってしまいましたが、驚かされるのが好きで、サスペンスが好きな人には至福の時間を提供してくれる作品集です。是非読んでみてください。
16の物語に投げ飛ばされ続けることの快感を味わえる短編集
「ボーン・コレクター」に始まる一連のリンカーン・ライムもので知られるジェフリー・ディーヴァー。彼の手になるイカした短編小説を16編集めた文庫本です。私は思い切り堪能しました。
16作品のほとんどすべてが、読者の思い込みを巧みに利用した「だまし」の物語です。
登場人物が憂いに満ちた表情を浮かべていれば、そっと駆け寄って、悲しみにくれるその人物のために力を貸したいと思うことでしょう。平穏な日常を切り裂く事件に娘が巻き込まれた父親が、決死の覚悟で決着をつけようと奔走する姿には、やはり心寄せたくなるでしょう。
読者のこうした「当然至極な思い」を梃子にして、思い切り遠くへ投げ飛ばす物語群が詰まった580ページの書です。次から次へと繰り出されるディーヴァーの巧みな投げ技に感嘆のうなり声を抑えることが出来ません。
巻頭の「ジョナサンがいない」にまず圧倒され、続く「ウィークエンダー」に息を呑み、三話目の「サーヴィス料として」のコミカルな欺きの手口にニヤリとさせられます。
四話目くらいになれば、読者もディーヴァーの手口を学習し始めて、先読みの心を働かせ、「これ以上は騙されまい」と身構えるものでしょう。しかしそれでも私は七話目の「三角関係」や九話目の「釣り日和」に、まんまと嵌められました。
しかし投げ飛ばされた後に読者をじわりと襲ってくるのは、自分がいかに思い込みに満ち満ちた存在であるかという恥じ入る思いです。世間や他人を単純明快な図式に当てはめて判断することのなんと無邪気で剣呑であることか。
そしてさらに思い知るのは、信じている家族や友人ですら十全に理解することの絶望的な不可能性です。どんなに相手に心を開いても、その言動を信じても、その心の奥に闇が広がっていることを知りえない場合がある。
最後はそんな底なしの悲しい思いに駆られる短編集といえるかもしれません。
裏切られる快感「まえがき」で著者が言っている。「短編の醍醐味は狙撃手の放った銃弾のように速くてショッキングなもの」と。その言葉通り、ここに収録されている短編にはいい意味で裏切られる作品が多い。予想していた結末を根こそぎひっくり返される快さ。
ことによかったのが「三角関係」。ネタバレするので内容には触れないが、読者の先入観を見事に手玉にとった作品で、ついうなってしまった。ほろりとくる人情話風の「ノクターン」も佳作。状況がよくわからないまま語りが続く「超越した愛」は最後に全てが明かされて、これもびっくり。本作のために書き下ろされた「クリスマス・プレゼント」も二転三転するストーリー展開で楽しめた。
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